季節は春から初夏へと移りつつあり、窓を開ける機会も多くなりました。この時期にぐんと増えるのが迷子鳥(ロスト)です。
先日シェ・ワゾーのホームページ宛にメールが1通届きました。
差出人のKさんより「愛鳥を迷子にさせてしまったけれど幸いなことに翌日無事に保護され、また一緒に暮らすことができています。誤って愛鳥を放してしまい心を痛めておられる方々のために何かご協力させていただけたらと思います」との有難いお申し出がありました。
迷子になってしまった愛鳥が無事に戻ってきた事例は限りなく少なく、しかも当事者の方から直接お話を伺う機会は初めてでしたので状況などを詳しく聞かせていただくことにしました。
こちらで問いを作成しそれにお答えいただきました。Q&A形式で下記に掲載いたします。
他にもKさんは今回の一連の出来事を記憶が鮮明なうちに書き留めようと、個人ブログにもお気持ちを綴られています。ご本人のご了承を得ておりますのでそちらのブログもご紹介させていただきます。
▶ヨウムのとんぴー1 ~はじめに~
※こちらのブログは更新中です。〜はじめに〜からお読みいただくのがおすすめです!
それではKさんがお答えくださったQ&Aをご覧ください。原文ままでご紹介しております。(こちらでは迷子になった状況を「ロスト」と表現しています)
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【ロストに関するQ&A】
Q1.ロストした鳥種・年齢・性格
A 鳥種:ヨウム 年齢:6歳
性格:かなり警戒心が強い、家族以外とほとんど接したことがない、男性の方が好き
Q2.ロスト期間(時間)
A 約23時間
Q3.ロストした際の状況
A 室内放鳥中に子供が開放してしまった玄関から外に飛んで出た
Q4.ロスト後に取った行動(捜索・遺失物届け出・ネット検索・チラシ作成など)
A 警察への遺失届(電話受理)
ご近所へも声掛けし数人で徒歩捜索・自動車での捜索
SNSでの拡散→主にFacebookを活用(年齢層高めにターゲットを絞った)
ネットの迷子鳥掲示板への書き込み
チラシ作成及び店舗等への掲示依頼
新聞掲載(準備のみ)
Q5.捜索にかけた人数、目撃情報など手がかりはありましたか
A ご近所への声掛け(2世帯)、 捜索は主に2名
目撃情報なし(飛んだ方角は子供より聴取)
Q6.発見の第一報はどこから、何日後(何時間後)でしたか
A 23時間後に保護してくださった方がおられる旨、警察から連絡がありました。
Q7.どのように保護されましたか
A ロスト地点から約1Km離れた民家に負傷して身を潜めているところを保護して頂きました。差し出された手に乗っています。普段は警戒心が強いのですが負傷していたことも要因の一つと思われます。
Q8.再会した時の状況
A 時間が然程経過していなかったことから飼い主を見るや肩に乗ってきました。
Q9.ロスト場所から保護された場所までの飛行距離はどれくらいですか
A 直線距離で約1km(途中で野鳥に襲われて墜落したと思われます)
Q10.最初に飛んで行った方角でしたか、風向きや風速などは関係していますか
A 飛んで行った方角です。当日は約8.0m/秒の強風(後にウインディで確認)でした。 風向きや風速はとても重要な手掛かりになると思います。
※野鳥のように営巣していれば帰巣本能に従って風向き等に逆らい飛行することも考えられますが、屋内飼育のコンパニオンバードは安住地点が無いので「流されるがまま」の状態になると思料されます(野鳥保護の会会員の方からの話)
Q11.帰宅後の愛鳥の状態、どのようなケアをしましたか
A まずは動物病院での診察を優先しました。外傷が確認できたことから感染症を防止することが大切だと考えました。治療後はスキンシップを多めに、エサは日ごろ与えていたものに戻しています。現在も飛べない状態でストレスはあると思います。接する時間をなるべく増やして安心感を得てもらえたらと思っています。
Q12.今後ロストしないための対策、心がけていること
A 飼育環境下では「ありえない」状況が重なることも考えられます。室内放鳥時には確実に戸締り確認を行うこと、目を離さないことを心掛けるようにしています。我が家では行っていませんがクリッピングも万が一に備えるという点では有効な方法だと思います。
Q13.ロストしてしまった場合、どのような行動を取ると良いと思いますか、もっとこうすれば良かったということはありますか
A 今回、比較的冷静に行動は出来ていたように振り返ります。ロスト時に一番重要なのは「早期発見・捕獲保護」で元の飼育環境に戻してあげることだと思います。ロストの一報から私の中では「24時間」がタイムリミットと考えていました。飼育環境下では「原状回復を十分に望める時間」は24時間、この限られた時間でどこまで出来るのかが鍵になると思います。
捜索の人数は多いに越したことはありません。初動の段階で発見に繋がれば生存率は劇的に向上します。ロスト初日の夕方、家内の声掛けにより私が帰宅するまでに周囲の検索はご近所のご家族も手伝ってくださりほぼ終わっていました。『どっちの方向に飛んでいった』だけでもかなり助かります。
Q14.最後に愛鳥とともに暮らす飼い主さんへお伝えしたいことをお聞かせください
A いくら気を付けていてもロストするに至る原因はあると思います。日常、当たり前に飼育しているとコンパニオンバードの存在は「当たり前」になってきます。その「当たり前」にどれだけ日ごろ癒されていたのかをロストによって痛感しています。
幸運が重なり再び一緒に暮らすことが出来ていますが、コンパニオンバードと過ごす1日1日を大切にすべきです。どんなペットにも通ずることですがペットも家族の一員です。飼育環境下で育った生き物は野生の生物や人間の社会とはかけ離れた生活をしています。
考えたくありませんが、同じような境遇に陥ってしまわれた方々がおられるとすれば、出来る限りのことはすべて行いましょう。可及的速やかに、無駄なく。そして、再会できたら素早い治療とケアを十分に行っていただきたいと思います。
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Kさんにはお伺いしたいことがありすぎて、たくさん質問したにもかかわらず全面的にご協力くださり本当に有難うございました!
実際にお話を聞いてみて初動の大切さや風向き・風速などとても参考になりましたし、無事に帰ってきてもその後のケアがとても大切なんだということがよくわかりました。
現在愛鳥のヨウムさんはケガの状態は日ごとに良くなってきており、心のケアにもご家族で当たられているので完全回復される日も近いことと思われます^^
Kさんとのやり取りでは、「迷子鳥を探されている方の少しでもお役に立てたら」、「希望を捨てず気持ちを切らさない、諦めないことをお伝えしたい」という言葉やお気持ちがすごく伝わってきました。とても貴重なお話を聞かせていただき心より感謝いたします。
こちらのQ&Aについてはシェ・ワゾーのホームページの迷子鳥関係のページにも掲載させていただく予定です。Kさんのブログについても同様にリンクを貼らせていただきます。(準備が整い次第となります)
愛鳥と過ごせる1日1日に感謝して、今一度気を引き締め直したいと思いました(^^)