ことり信託 事例紹介

具体的にはどうやって、飼い鳥やお金を預けるの?

飼い鳥のための信託の仕組み

事例/1

Aさんは高齢の一人暮らし。オカメインコと仲良く暮らしています。
最近、体調を崩すようになり、今後のことを考えるようになりましたが、気になるのが可愛がっている5歳なったばかりのオカメインコのこと。Aさんに頼れる家族はいません。

さて、Aさんと同じマンションに住む鳥仲間のBさんはセキセイインコを飼っています。近所に住むBさんとは旅行などで留守にする時はお互いインコを預け合っていて、信頼できる鳥仲間です。口約束で「私が入院したらオカメインコのことはお願いね」という話もしています。
Aさんは、自分に何かあった時、Bさんにオカメインコの面倒を見てもらえたら・・・と思うのですが、飼育費用をどうお支払いすればいいのか悩んでいます。

そこで、信託の出番です。

代表的な方法を紹介しましょう。
事前に話し合い、契約を交わすことで、以下のような鳥さんとお金の移動がスムーズに行われます。

Aさんがオカメインコの世話ができなくなってしまった時、Aさんがあらかじめ用意した飼育費用とオカメインコの所有権はBさんに移転します。飼育費用の名義はBさんになりますが、Bさんはそのお金をオカメインコの世話に関することにしか使うことはできません。飼育費用をしっかり管理しているか、鳥さんの世話をきちんとしているかについては、信託監督人が定期的に確認します。

ことり信託のメリット / デメリット
★メリット
1. 遺言と違い、自分の死後でなくとも効力を生じさせることができる。例えば、施設へ入るとき、入院するとき、認知症になるなどで鳥さんの世話ができなくなってしまったときなど。
2. 自分で決めた金額を、鳥さんのための費用のみに使ってもらえる。
3. 監督人を付けることにより、確実に鳥さんの世話をしてもらえ、信託財産も管理してもらえる。
★デメリット
1.  契約内容が込み入っているので、専門家にかかる必要がある。
2. 契約作成や監督人への報酬など、ある程度の費用がかかる。

民事信託について

これまで信託業務は、総理大臣免許を受けたものしか営業できず、実質信託銀行など大会社以外は取り扱えなかったのですが、2006年に信託法が大改正され(翌年9月施行)、個人間信託ができるようになりました。それが「民事信託」と呼ばれるものです。
信託の定義は「自分の財産を、一定の目的の範囲内で管理や運用してもらうために、他人に委ねる」ことです。民事信託(個人間信託)は、銀行などとは違い、「営業を目的としない」信託です。一個人や団体などが、信託を構成する機関となり、信頼関係を基礎としてなされるものなので、その名のとおり「信」じて「託」す(託すの意味は「自分にできないことをほかに委ねる」)のです。
ことり信託はこの「民事信託」にあたります。

民事信託の具体例

事例/2

登場人物
・Cさん(委託者)
・Dさん(受託者)
・Eさん(受益者)
委託者Cさんは、受託者Dさんを信頼し、自分の財産の一部をDさんに託します。託された財産の所有権はDさんに移転しますが、その財産による経済的な利益は受益者であるEさんしか享受することはできません。

Cさんは高齢で妻Eさんと2人暮らし。子供はいません。Cさんは自分の死後Eさんが不自由なく暮らせるように財産を全部Eさんに相続させたいのは山々なのですが、Eさんは認知症の症状が出てきており、不安もあります。
そこで我が子同然の付き合いの甥っ子Dさんに財産の管理を頼み、ゆくゆくは相続もさせたいと思いました。
そこでCさんは自分の全財産をDさんに「信託」することにしました。(下図参照)

信託はCさんの死亡と同時に始まり、1. 信託された財産の所有権(名義)はDさんに移りますが、2. DさんはEさんの生活のためにしかその財産を使うことはできません。そしていずれEさんが亡くなった後は 3. 残存する財産はDさんが自由に管理・処分できるようになるのです。

以上が単純化した民事信託の仕組みです。
このEさんを飼い鳥に置き換えると、ペットのための信託【ことり信託】となります

ちなみに、委託者と受益者が同じ人であっても問題ありません。

例えば、Cさんが自分の財産の一部をDさんに託し、その後Cさんが寝たきりになって施設に入ったときに、Dさんがその信託された財産の中から施設への支払いをするような場合です。


以上、民事信託についてご説明いたしました。
まだ始まって間もない制度ですが、鳥を飼う私たちの身にも起こりうる身近なことだと思われます。

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